TED
「注目されたいという欲求は創造性を削ぐ」の要約です。
ジョセフ・ゴードン=レヴィット
要約
注目を集めたいと思うことの弊害
過去10年間、新しいテクノロジーのおかげで、より多くの人々が注目を集めることができるようになりました。
でも、創造的でありたいと願うすべての人にとって、予期せぬ影響があったのではないかと 思わずにいられません。
私たちの創造性が、注目を集めるための手段になっていると思います。
私の経験から言うと、注意を向けることで得られる感覚を追い求めれば、そうするほど幸せを感じます。
しかし、注目を集めることで得られる感覚を追い求めれば、そうするほどむなしい気持ちになります。
8歳のサマーキャンプのときに、テレビ番組やコマーシャルで、小さな役をもらっていたことをやたらと自慢しました。
最初は上手くいって注目されましたが、しだいに、他の子どもたちにからかわれ始めました。
そして、ちょっと気になっていた、ロッキーという女の子に「目立ちたがり屋」と言われ、すごく傷ついたことを覚えています。
その後、Twitter が登場しました。その時には、役者であることを利用して注目を集めていたんです。
しかし、私がこよなく愛する創作過程に影響するようになりました。
今もそうです、そうならないようにしますが、例えば台本を読むときは、本来は役について考えたり、観客はこの話をどうとらえるだろうか?と考えたりすべきです。
しかし、そうではなく「この映画のことを Twitter でなんてつぶやこう?」 「なんて返信しようか? 」といった考えがよぎります。
注目を集めたいは、中毒と同じ
ソーシャルメディアやスマホなどのテクノロジー、それ自体が問題だとは思いません。
でも、創造性が注目を集めるための手段になってしまう危険性を語らねばなりません。
注目を集めることへの中毒は、他のものの中毒になるのと全く同じことです。
決して満たされません。
最初は「フォロワーが1,000人いたら 気分がいいだろうな」と思うかもしれません。
でもそのうちに、「いや フォロワーが1万人になったら」 「10万人になったら ― 」 「フォロワーが100万人になったら 気分がいいだろうな」
私は Twitter で420万人にフォローされていますが、だからって気分はよくはありません。
他の役者を検索して、自分よりフォロワーが 多いのを見ると、自分はダメだと思います。
自分を不十分だと思う気持ちが、投稿をうながし、注目を集めようと思わせます。
ですから、 どれだけ注目を集めても、「ついにやったぞ」という気持ちにはならないのです。
あなたの創造性が、注目を集めたいという願望に突き動かされるなら、その創造性が満たされることはありません。
注意を向けることで幸せを感じる
でも 良い知らせがあります、強力な感情は、もうひとつあるんです。
私が、演じることが大好きな理由です。ただひとつのことに注意を向けられるということです。
心理学者や神経科学者は、これを 「フロー」という現象だと言っています。
人がただひとつ、例えばクリエイティブなことに注意を向けていて、他のことで気が散らないときに脳で起こる現象です。
より頻繁にこれを経験すると、より幸せを感じられると言う人もいます。
私は心理学者でも神経科学者でもありませんが、心から真実だと思います。
いつも簡単にできるわけではないし大変ですが、しっかり注意を向けるためにお伝えできることがあるとすれば、こんなことです。
注意を向ける方法
他のクリエイティブな人たちを競争相手だと思わないことです。協力できる相手だと考えることです。
例えば、他の役者を競争相手だと考えたらこう思うでしょう。
「彼らの方が自分より注目されたら、自分よりも彼らの演技の方が話題になってしまう」 そすると、集中が途切れ、そのシーンの出来はきっと散々でしょう。
他の役者を協力できる相手だと考えるなら、集中することが容易になります。
彼らに注意を向けるだけだからです。
自分のやることを考える必要はなく、私は彼らに反応して、彼らは私に反応することで、ともにその場にあることができます。
これは、どんなクリエイティブな場でもありえるでしょう。仕事かもしれませんし、趣味かもしれません。
同じ場所に居合わせない人と協力することだってできるでしょう。
それこそが、インターネットの醍醐味です。
注目を集める競争をやめれば、インターネットは協力できる相手を探すのに素晴らしい場所になります。
他の人と協力しはじめれば、容易にフローを見いだすことができます。
なぜなら、一緒に作っているもの、ただそれだけに皆が注意を向けているからです。
創造的なプロセスで、自分が本当に大切に思っていることに集中し、注意を向けることができれば、どれだけ注目されようがされまいが、やって良かったと思えます。
まとめ
・私たちが強力な感覚を覚えるのは、注目と注意の2種類がある。
・注目を追い求めるとむなしい気持ちになり、注意を追い求めると幸せな気持ちになる。
・注意=フロー
フロー体験により、人は幸せな気持ちを感じることができる。
・他者と競争するのではなく、協力することで、一緒に作るということだけに注意を向けることができる。
感想など
ブログを書いたり、何かしら文章をかくという一人で行うことでも、こんなことを書いたら人にどう思われるんだろうとか、あの人よりもうまく書きたい、良いことを書きたいと思うと、まったく集中ができなくなってしまいます。
自分の対象となるお客さんとの協力作業のように、お客さんは「何が知りたいのか?」「どうやったら理解してもらいやすいのか?」と考えれば、集中できるようになるなと気づきました。